私は約20年前、網膜色素変性症の診断を受けました。宣告から2、3年は、ただただ暗い気持ちで沈み込む毎日を過ごしていました。
そんな私の心に変化が起きたのは、ある居酒屋での出会いでした。
店に一人の全盲の女性が入ってきました。話しかけてみると、その方はマッサージの仕事をしながら生計を立てており、とても笑顔で、元気に話をされていました。
当時の私は、少し見えにくくなっただけで、自分で見ることを諦めかけていました。しかし、その女性と話し、力強く生きる姿を目の当たりにしたことで、「たとえ視力を失っても、人は一人で生きていけるんだ」と気づかされたのです。
それをきっかけに、地元の視覚障害者団体に顔を出すようになり、そこで「サウンドテーブルテニス(STT)」に出会いました。
最初は苦労の連続でした。始めてから2年間は、球に当てることすらできませんでした。それでも練習を続け、誘われるままに県大会へ出場するようになりました。
8年前には九州大会に出場しましたが、レベルの差を痛感し、一回戦敗退。その翌年には国体(全国障害者スポーツ大会)にも出場し、銅メダルをいただくことができましたが、自分の思うようなプレーができず「今のままではダメだ」と強く感じました。
そこから、毎日自宅での自主練習を始めました。
努力は少しずつ形になり、県大会で勝てるようになり、国体でも金メダルや銀メダルを獲得することができました。
今年1月の沖縄予選で優勝し、11月に地元・沖縄で開催される九州大会への切符を手にしました。昨年の九州大会は二回戦敗退という悔しい結果でしたが、今年の目標は「優勝」です。
今の私があるのは、あの日、居酒屋で出会ったあの女性のおかげです。あの出会いがなければ、私はまだ暗闇の中にいたかもしれません。これからも感謝の気持ちを忘れず、一球一球を大切に打ち込んでいきたいと思います。